プレスリリース作成マニュアル

 

 広報担当として、「どうすればメディアに取り上げてもらえるのか?」を調べたので、自分用のマニュアルとしてまとめておく。

 結論から言うと、プレスリリースはただの「お知らせ」じゃなくて、「記者への記事執筆の提案書」だと考えるのが正解みたいである。 記者が探しているのは「企業の宣伝」ではなく「社会への報告」である。自分のネタを「社会視点」に変換する必要がある。

 そもそもスタンスを間違えてはいけない。記者は企業の宣伝マンではなく、社会に有益な情報を届けるプロである。 そのため、プレスリリースは単なるお知らせではなく、「この記事を書くことで、記者(およびその読者)にどんないいことがあるか」を提示する「提案書」である必要。「買ってください」ではなく、「この情報は社会にとってこんな価値があります」と伝えること。

 また、忙しい記者の手間をどれだけ減らせるか、そして「これを記事にすれば読者に喜ばれる」と思わせられるかが勝負。以下、実践すべき4つのステップを残す。

STEP 1:まずは「ニュースバリュー」を見つける

1.チェックすべき「3つの視点」 この要素が入っているか自問自答すること。

  1. 時事性(トレンド): 「今、世の中で起きていること(SDGs、人手不足、物価高など)」と絡められるか?
  2. 数字(ファクト): 「大好評」とかの主観はNG。「発売1週間で1万個」「前年比150%」といった客観的な数字があるか?
  3. ストーリー(物語): 開発者の苦労や創業者の想いなど、人間味のあるドラマがあるか?

【変換のコツ】

  • Before(自社視点): 「新機能がついた勤怠管理システムを発売」
  • After(社会視点): 「【2024年問題】残業を自動抑制する新システム。トラックドライバーの人手不足解消を支援」 → こうやって「社会課題の解決」という文脈に乗せることが大事。

2.ニュースバリューを判定する「8つの要素」

さらに細かく分析する場合、以下の要素が含まれているほどニュース価値は高まる。タイトルやリード文を作成する際のチェックリストとして活用。

1. 時事性: 世の中のトレンド、季節、イベント(クリスマス、新年度など)と合っているか。

2. 新規性: まだ知られていない新しい情報か(新機能、新発見)。

3. 独自性: 他にはない独自の取り組みか(業界初、国内唯一)。

4. 社会性: 社会問題の解決や公共の利益につながるか。

5. 意外性: 常識を覆す事実やギャップがあるか(例:洗わないシャンプー)。

6. 影響性: 多くの人に影響を与えるか(市場規模が大きい、ターゲットが広い)。

7. 人間性: 感情を動かすストーリーがあるか。

8. 地域性: 特定の地域で話題になりそうか(地元愛、地域活性化)。

3.ニュースバリューを「作る」テクニック

もし自社の商品やサービス単体でニュースバリューが弱いと感じる場合は、意図的に価値を付加する方法がある。

  • 調査PR(調査リリース):自社で独自にアンケート調査を行い、その結果を「社会の事実」として発表する。自社の主張ではなく、数字を通じて業界の状況を示すことで、広告を嫌うメディアにも「信頼できる情報」として扱われやすくなる。
  • コツ: 「専門家の分析コメント」を入れると信憑性が増し、記事化率がさらに高まる。
  • 権威付け:大学教授や医師などの専門家、あるいは自治体との連携など、「第三者のお墨付き」を得ることで信頼性を高める。

STEP 2:タイトルは「30文字」で勝負する

記者が思わずクリックし、記事にしたくなる「目を惹くプレスリリースのタイトル」をつけるためのポイントとは、結論から言うと、「30文字以内で、具体的な数字と事実(ファクト)を、社会的な文脈で伝える」ことが鉄則である。

メールの件名やスマホの検索結果で切れない長さが「30文字」。ここで中身を見てもらえるかどうかが決まる。

1.タイトルの鉄則

  • 重要な言葉は「左側」へ 結論やキーワードを最初に持ってくる(人の目は左から右へ動くから)。
  • 「事実」と「数字」を入れる: 形容詞(すごい、画期的)は削って、具体的な数字を入れる。
  • 溢れたらサブタイトルへ: 全部入れようとせず、背景や補足(〜のニーズに対応、とか)は副題に回す。

たとえば 

❌ NG: 新商品を発売します!(抽象的すぎる)

⭕ OK: 【新商品】糖質50%オフの「〇〇パン」、10月1日より全国発売

2. 目を惹くテクニック(心理・視覚効果)

  • 記号【】を活用する【業界初】【調査報告】【新商品】などの墨付き括弧を文頭に使うことで、視認性が高まり、ニュースの種類が一目で伝わる。
  • 「社会性」をアピールする:単なる企業の宣伝ではなく、「社会にとってどういう意味があるのか」という視点を盛り込む。「〇〇問題に対応する」「働き方改革につながる」など、時流や社会課題と結びつけると、記者は記事化しやすくなる。
  • 「意外性」や「ギャップ」を作る:「常識とは逆の事実」や「驚きの数字」がある場合、それを強調します。ただし、釣りタイトルにならないよう、事実に基づいた範囲で表現することが重要。

やってはいけない「NGタイトル」

  • 形容詞や誇張表現の多用:最高」「画期的」「すごい」といった主観的な形容詞や、「!」の多用は避けましょう。記者は事実を求めており、宣伝色の強い表現は嫌われる。
  • 根拠のない「No.1」「業界初」も信頼を損なうため、使用する場合は必ず客観的な根拠を本文に明記する必要がある。
  • 売り込み色が強い:「今ならお得!」「ぜひお越しください」といった消費者向けの広告コピーのようなタイトルは、報道資料としては不適切
NG例(抽象的・宣伝的)OK例(具体的・ニュース性あり)ポイント
新商品を発売します!【新商品】糖質50%オフの「〇〇パン」、10月1日より全国発売「何が」「いつ」「どういう特徴か(数字)」を具体化
イベントを開催するので取材に来てください【取材案内】イクメンパパ100人が集結!子育てを語るトークイベントを広島で開催「誰が」「どこで」「規模(数字)」を明記し、社会性を提示
画期的な新サービスを開始AIで業務時間を3割削減する新ツール「〇〇」、中小企業向けに提供開始「画期的」を「3割削減」という具体的な便益(ベネフィット)に変換

STEP 3:記者が泣いて喜ぶ「素材」を用意する

ここが意外と見落としがち。「この記事なら手間なく書ける!」と思わせる「お膳立て(ホスピタリティ)」が重要。

  1. 「使える」画像を用意する: 記事のメインになる高解像度の画像を3点以上。グラフはExcelそのままじゃなくて、見やすく加工したものが好まれる。
  2. コピペできるファイルも渡す: PDFだけだと文字を打つのが面倒。テキストをコピペできるWordや、画像を保存しやすいPowerPointもセットで用意しておくと親切。
  3. 動画は「ハイライト」で: 動画を見ている時間がない記者のために、注目シーンのキャプチャ画像を添える。
  4. 連絡先は「携帯」で: 締め切り前の記者とすぐ繋がるよう、担当者の携帯番号を書いておく。

STEP 4:ダメ押しの「取材メリット」を提示する

記者は常に「社会性のあるニュース」や「読者に読まれるネタ」を探している一方で、非常に多忙なスケジュールの中で動いている。

そのため、「この記事を書くことで、記者(およびその向こうの読者)にどんないいことがあるか」や、「いかに手間なく質の高い記事が書けるか」というメリットをリリース内で提示することは、非常に有効な戦略となる。

1. 「ニュースの価値(ネタとしての質)」を提示する

単なる宣伝ではなく、「社会にとって報じる意義がある」と感じさせる要素を明記する。

「社会性」や「時事性」との結びつき:「今、世の中で話題の〇〇に関連する」「社会課題の解決につながる」といった文脈(コンテキスト)を提示する。記者は個別の企業の宣伝ではなく、社会に関係する出来事を求めているため、この視点を入れることで取材のハードルが下がる。

権威付け(信頼性の担保):調査データに専門家や有識者のコメントを掲載することで、記事の信憑性が高まり、記者が安心して記事化できるようになる。「専門家のコメントあり」と明記するだけでも、記事化のしやすさが向上する。

2. 「取材のしやすさ(アクセス)」を提示する

物理的、時間的な取材のしやすさをアピールすることも重要です。

具体的な取材案内:イベントなどの場合、単に「開催します」ではなく、「取材案内」という言葉を用いて、記者に取材機会を提供できることを明確に伝える。これにより記者が「自分ごと」として捉えやすくなり、メール開封率が上がるというデータもある。

問い合わせ窓口の明確化:急ぎの取材依頼に対応できるよう、問い合わせ先には担当者の携帯電話番号を記載しておくと、記者にとって連絡が取りやすく、取材依頼を逃しにくくなる。

これらのメリットは、リリースの本文中にだらだらと書くのではなく、以下のような工夫をして提示するのが効果的である。

たとえば、タイトルやサブタイトル: 「【調査リリース】専門家の解説付き」「画像素材20点あり」など、メリットを端的に入れる。また、多くの配信サービスには、一般公開せずメディア関係者だけが見られる「メディア限定公開欄」や「備考欄」がある。そこに「本件に関する追加データを提供可能です」「代表への個別インタビュー調整可能です」といった具体的なメリットを記載するのも有効。

このように、相手(記者)の立場に立って、「取材・記事化のハードルを下げる要素」をリリース内に盛り込むことは、メディア露出を獲得するための重要なテクニックと言える。

STEP 5:最終チェック

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