秋田で考える、端末時代の「使いこなし」と、ちょっと昔の僕の話

僕が初めて自分の携帯電話を持ったのは、自分で契約できる20歳になってからだったんだ。PHSという、今や君たちには馴染みのないものだよね。
今でこそ、子供のころから携帯電話(スマホ)、パソコン等のデジタルデバイスに慣れ親しむことが当たり前になっているけれども、僕がパソコンに初めて触ったのは、就職先が決まってからだった。慌ててキーボードを不自由なく打てるようにと、当時流行っていた「北斗の拳」のタイピングゲームで練習していたことを覚えているよ。滑り込みセーフってやつだ。
仕事の内容は基本は事務仕事だったから、Windowsパソコンを購入すれば問題なかったはずなのに、どうしてもアップルのiBookが気になってしょうがなく、最終的にそれを購入した。まあ、Macでもワードやエクセルは使えるしと、自分を納得させながらね。その選択は、その後、僕自身を完全なアップル信者に変えてしまうわけだけれども、はじめに使用するパソコンって、本当に大事なんだと実感する 。
そして、僕は仙台を離れ、秋田で就職することになったとき、持ってきたのは仕事で着用するスーツ、カバン一つにおさまる貴重品、そしてそのiBookだけだったんだ 。僕のデジタルライフのスタートは、秋田の生活と密接に結びついているんだよね。
端末導入の費用と、僕らの時代の「マック信者」の話
さて、君たちの学校にも、今や一人一台の端末があるはずだ。これはGIGAスクール構想という大きな波がもたらしたものだけれど、この波に乗るには、実はなかなかお金の話がついて回る。
例えば、高校の端末にかかる費用は、自治体によって原則公費負担だったり、保護者負担だったりして、ほぼ半々に分かれているらしい。保護者負担が増えている地域もあるんだ。もし京都府の公立高校が採用しているiPad(キーボードや補償込みで9万円ほど) のような端末を保護者が負担するとなると、家計にとっては大きな出費だよね。
端末を選ぶ際の流行り廃りも面白い。僕がMacに夢中だった時代と違って、今は「安価で運用しやすい」という理由から、Chromebookが多くの自治体で採用され、シェアを伸ばしているようだ。一方でiPadは、他のOSに比べて端末価格が若干高く、購入する自治体によって価格のブレ幅が大きいという側面もある。
そして困ったことに、端末は想定以上に壊れるものらしい。修理費用が自治体の財政を圧迫しているという話もあり、多くの自治体が予備機や延長保証、保険の契約を見送ってしまった実態があるんだ。君たちが安心して道具を使い続けるためには、自治体や学校が「壊れた時の予算」を、しっかり備えることが不可欠なんだ。

「遅い!」の向こう側に見える、未来への道
君たちが学校で端末を使うときに、どんなことに困るかな?アンケート結果を見ると、小学生、中学生、高校生に共通して「遅い」や「悪い」といった、インターネット回線に関する不満が挙げられている。文部科学省が推奨するネットワーク帯域を満たしている学校は約2割にとどまる、という調査結果もあるらしいから、これは深刻なインフラの問題だね。
もちろん、大人の側の課題も山積している。教育現場では、先生方が「効果的な指導方法がよくわかっていない」と感じているケースが多く、また「研修やサポート体制が十分ではない」という認識も半数近くの校長に見られるそうだ。
特に深刻なのが、教員の「負担」だ。ICTに精通した先生に業務負担が偏ってしまう、研修に行く時間すら確保できない、Chromebookを使おうにも授業準備に時間がかかる、といった現場の悲鳴が聞こえてくる。管理の面でも、iPadのように年度末に端末を初期化したり、アカウント管理、アップデート管理に手間がかかったりすると、教員や管理者の負担が増大してしまう。
だけど、ここで立ち止まるのはもったいない。君たちが感じる「遅い」や、先生方が感じる「負担」は、未来の秋田の教育を改善するための貴重なデータだ。例えば、Chromebookのように、クラウドベースで管理が容易な端末を選べば、管理にかかるランニングコストを削減し、先生方の手間を大きく減らせる可能性がある。先生方の時間ができれば、その分、君たち一人ひとりと向き合う時間が増えるはずだ。
デジタル時代の「ルール」と僕らの責任
端末が手元にあることの恩恵は計り知れないけれど、同時に責任も生まれる。保護者の方々は、子どもたちが授業に関係のないサイトを見たり、YouTubeやゲームに時間を使いすぎることを心配している。
だからこそ、君たち自身が「ルールを守る」こと、そして「安全に扱う」という意識を持つことが、デジタル社会で生きていくための大前提になる。アンケートでは、小学生は特に「壊す」「落とす」といった端末の扱い方を大切だと考えていることがわかっている。中学生は「時間を決める」ことや「安全」を重視し、高校生は「Wi-Fi」などの環境整備が大切だと考えている。
セキュリティの面でも、他人事ではいられない。かつて、東京都のある小学校では、パスワードが統一されており、変更も許されなかったために、「なりすまし」の被害が報じられたことがあった。これは学校側の管理の問題だけれど、君たち一人ひとりが「個人情報を出さない」、「勝手なことをしない」 といった意識を持つことも、自分と周りの人を守る防具になる。
デジタル技術は、君たちの学びを豊かにし、将来、秋田でどんな仕事をするにしても必要な力だ。もし君が教員や教育現場で働く人なら、目の前の多大な業務負担や研修の壁に、少しずつ、効率化の工夫を持って取り組むことが、大きな変化につながる。そして秋田の若者である君たちには、デジタル化の波に臆することなく、目の前にある「不便だ」という小さな課題を、将来の秋田をより良くするための「伸びしろ」だと前向きに捉えて、楽しんで使いこなしていってほしいな。
出典
- GIGA スクール端末の適切な使用に向けたユーザー調査結果について – 東京海上日動火災保険
- GIGAスクール構想に関する アンケート分析結果 – デジタル庁
- GIGAスクール構想の 成果と課題について – 文部科学省
- GIGA端末更新でGoogleがシェア6割に拡大、MM総研調査 – こどもとIT
- 公立学校情報機器整備事業に係る 各種計画の策定要領 令和6年4月 26 日 文部科学省
- 想定以上に壊れる教育現場のGIGAスクール端末。修理契約せずに故障機が塩漬けのケースも
- 教育 – 小中高等学校 – 新潟市教育委員会 – Apple(日本)

