秋田の昼ごはん事情を覗き見 — 「食」が君たちの未来を変える

 
 僕が公立の小中高に通っていた頃、小学校と中学校では当然のように温かい給食が出ていたのに、高校に入るとパタリとそれがなくなったんだ。最初はなんだか自由になった気がして、通学路のコンビニでパンやおにぎりを買ったり、校内販売のお弁当に並んだりするのも新鮮で楽しかった 。

 でも、保護者の身からすると、僕らがちゃんと食べているか心配だったはずだ。実際、保護者からもらった昼食代をこっそり貯めて、自分のお小遣いにしていた友達もいた。これじゃあ、食事がおろそかになってしまう。だからこそ、今、大学生協なんかでは、事前に保護者が決済を済ませて、子供が確実に食堂を利用できる「定期券システム」の需要が高いんだろうね。

 この高校生の昼食を巡る状況は、秋田の未来を考える上で、意外と重要なヒントをくれるんじゃないかと思うんだ。今回は僕たちの毎日の「昼ごはん」にぐっと焦点を絞って、少し一緒に考えて欲しい。

「安さ」と「手軽さ」の誘惑 — コンビニランチの光と影

 君たち高校生にとって、昼ごはんの選択で最も大切なのって、なんだか知っているかい?
 ある調査によれば、高校生がランチを選ぶ際に最も参考にしているのは、ダントツで「安さ」なんだそうだ。そして、手軽に食べられるおにぎりやサンドイッチ、パンなどが人気らしい。僕の友達が昼食代を小遣いに回していたように、安くて手軽なものを選ぶ気持ちはよくわかる。

 でも、この「安さ」と「手軽さ」を優先すると、どうしても栄養バランスが二の次になりがちだ。保護者の多くは、子供が日々の食事や間食で栄養バランスを意識していないと感じていて、野菜をあまり食べないことなどを心配している。家庭で一生懸命調理を心がけている親御さんが多いのも、そのためだろう。

 中には、親御さんが愛情を込めて作ってくれたお弁当でも、おかずが「茶色ばっかり」だと、友達に見られるのが恥ずかしい、なんて声もある。茶色いおかずは美味しいけれど、栄養や彩りのバランスも気にするんだよね。逆に、高校受験の日に応援メッセージが入っていたお弁当で、気持ちを切り替えて合格できたという話もある。お弁当は単なる燃料補給じゃなくて、保護者からの愛情(量が多いのも愛の証らしい)が詰まった「エール」の側面も持っているわけだ。

学食閉鎖の「ダブルパンチ」 — 僕らの居場所はどこへ

 ところで、君たちの学校には、生徒食堂(学食)があるだろうか?
 実は今、全国的に高校や大学の学食が閉鎖に追い込まれるという異変が相次いでいるんだ。その原因は「少子化による利用者の減少」と「物価高騰による運営コストの上昇」という、まさに「ダブルパンチ」だ。

 高校の学食の平均メニュー単価は、だいたい300円から400円程度が目安とされている。安くてバランスの良い食事を提供しようと頑張っているから、価格を上げようにも、生徒や保護者(ステークホルダー)からの抵抗が強くて、なかなか値上げができない。
 そのような利用者が減る中で、材料費や光熱費が高騰し、運営事業者が撤退するという「苦渋の決断」が下された例は、実は少なくない。

 考えてみてほしい。高校の学食は、そもそも授業期間中の昼休み以外の利用がほとんど期待できない。加えて、夏休みや冬休みといった長期休暇の間、郊外のキャンパスでは学生の滞在が見込めず、営業そのものが成り立たないケースもある。僕たちが当たり前に使っていたあの場所が、実はとても脆い基盤の上で成り立っていたなんて、なんだか切ない気持ちにならないかい。

学食が消えた日、僕らは何を学ぶか?

 学食閉鎖という厳しい現実に直面した時、そこから生まれる解決策は、地域や学校の状況に合わせて、実に多様でクリエイティブなものがある。

 例えば、大阪の高校では、採算が合わず撤退した学食の代わりに、校内にコンビニエンスストア(ヤマザキショップ)を導入した。ここでは、おにぎりやパン、手作りのお弁当が売られ、かつての学食の場所がイートインスペースとなって、生徒たちの昼食の場として活用されている。

 また、愛知のある大学では、学生起業家が中心となり、外部の一般客も呼び込むことで採算性を確保しようと工夫された、本格的なスイーツやカレーを提供する「地域開放型の学食」が生まれた。彼らは、空腹を満たすだけでなく、「心のすき間も埋めるような温かい場所」を目指したという。さらに、香川県の高校では、生徒自身が一部の食材を育てたり、メニューを考案したりすることで、学食を「経営や食育を学ぶための教材」として位置づけ、存続の道を探ったというユニークな事例もあるんだ。

 見ての通り、解決の仕方は一つじゃない。大切なのは、君たちが直面しているこの「昼ごはんクライシス」が、単なる「お腹を満たす問題」ではなく、「君たちの居場所、健康、そして秋田の地域経済に直結する大きな課題」だということなんだ。

 高校生にとって、昼食で一番重視されるのは「安さ」や「手軽さ」だと言われるけれど、君たちがその選択をする時、心のどこかで「これは本当に栄養が足りているのかな」「このお金は、どこへ流れていくんだろう」と考えてみてほしい。
 保護者は、君たちの昼食に「栄養バランスが取れていること」を強く期待しているし、忙しい中でもお弁当作りを頑張っているのは、それが君への「愛情(量が多いのもその証拠だとか)」と「エール」だからだろう。

そして、誰かと一緒に食事をしたり、たとえ共食の頻度が低くても家族全員で食事をしたいと思える状況があるだけで、心の健康度が高まることが研究で示されている。学校の食堂や、地域の店が、君たちにとってそういう「安心できる場所」であり続けること、つまり「心の居場所」としての機能を維持することが、君たちの成長にとってどれだけ重要か、改めて考えてみてほしいんだ。

 君たちの世代が、この課題に「他人事」ではなく「自分事」として関わり、「どうすれば、この秋田という場所で、もっと面白く、もっと健康で、持続可能な食と交流の場を守り育てるか」を考え、行動に移すこと。それが、君たちの未来、そして秋田の次の時代を創る、最初の一歩だと僕は思うよ。肩の力を抜いて、君自身の「食」の未来図を、大いに自由に描いてみてほしい。

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