高校の「学び方」を巡る冒険

僕がまだ君たちと同じくらい若かった頃、高校といえば、ほとんどの友達が朝から夕方まで校舎で過ごす「全日制」の学校へ行くものだと決まっていたような気がするんだ。たまに耳にする「通信制」の学校と聞くと、僕の頭に浮かぶのは、放送大学みたいに、大人になってから改めて勉強したい人が通うところというイメージだったね。
でも、時代はあっという間に変わった。最近、通信制の学校に通う若者が本当に増えているらしい。インターネットが僕たちの生活に入り込んできて、学習の方法もすごく充実してきたんだろうね。
コロナ禍で大学に入学した人の中には、友達に会うこともなく、しばらくオンライン授業ばかり受けていた人も多いと聞く。僕自身、「これじゃあ、通学生として入学したはずなのに、通信制と変わらないじゃないか」と感じた記憶があるよ。その時、これまでは脇役だった通信制の学校が、これからぐっと注目されるんじゃないかと思ったんだ。授業を受ける君たちの方も、オンラインで学ぶことへの抵抗がなくなっているはずだから、いろいろな可能性が広がっているのは間違いない。
立ち並ぶ三つの高校の道しるべ
さて、君たちが高校卒業資格を得るための道は、実は三つある。
一つ目は、みんながよく知る「全日制課程」。これは平日昼間に毎日登校して、朝から夕方まで時間割通りに授業を受けるスタイルだ。基礎から大学受験までしっかりカバーしてくれる、王道の道だね。在籍期間は通常3年間と決まっている。
二つ目は「定時制課程」。これは夜間学校なんて呼ばれることもあるけれど、夜間だけでなく、昼間に授業を受ける学校もある。授業時間は全日制より短めの4時間くらいになる。僕が高校生だった頃、全日制と定時制の生徒たちの交流を描いた「白泉流し」というテレビドラマがあって、それが印象的だったのを覚えているよ。
そして三つ目が、今、特に注目されている「通信制課程」だ。これは主に自宅や学習センターで勉強を進めるスタイルだよ。君たちの住む秋田にも、広域通信制高校の学びの拠点があるはずだ。どの道を選んでも、卒業すれば同じ「高校卒業資格」が手に入る。
時間と費用を自分でコントロールする魔法
通信制高校の一番の魅力は、何といっても学習する時間を自分でコントロールできることだろう。例えば、日中は自分のやりたい仕事やスポーツ、芸能活動に打ち込みながら、自分の都合の良い時間に勉学にあてることが可能になる。自分の学力や興味に合わせて、得意な科目を早く進めたり、苦手な科目にじっくり時間をかけたりできるのも、通信制ならではの特権だ。通学のストレスや、それに伴う交通費や時間の節約ができるのも嬉しいところだね。
もう一つ、費用面もすごく魅力的だ。中学・高校には就学支援制度の適用もあるから一概には言えないけれど、全日制と比べて学費が安い場合が多い。特に公立の通信制高校は、驚くほど安価で、例えば都立だと1単位あたり約336円というデータがある。卒業に必要な74単位分を計算しても、授業料は合計約2万5千円程度になる計算だ(もちろん教材費などは別にかかるけれど)。
ただ、費用に関しては、公立と私立で大きな違いがある。私立の通信制高校だと、学校やコースによっては年間18万円以上の授業料がかかる例もある。私立は学費が高いというデメリットがあるけれど、それを上回るメリットも持っている。それは、卒業率が圧倒的に高く、サポートが手厚いということだ。
孤独な学習の罠と、対面指導のぬくもり
インターネットが普及した今、「オンラインだけで高校を卒業できる」と聞くと、すごくスマートで簡単そうに聞こえるよね。僕もそう思う。でも、ここでちょっと立ち止まってほしい。
高卒資格を取るためには、オンラインでのレポート提出(宿題)や試験だけでは不十分で、実は「面接指導」、つまり先生から直接授業を受けるスクーリングが必須条件なんだ。オンラインでレポートを出すことはできても、単位を修得するための対面指導(スクーリング)の代わりにはならない。
通信制高校のコースには、通学しない「在宅コース」や「オンラインコース」と呼ばれるものがある。費用は安く済むけれど、これは自分で勉強を進めることが大前提となる。正直なところ、大半の生徒は一人で学習を続けるのは難しい、というのが現実らしい。
結局、人は生身の「人」による指導を求めているものなんだ。だからこそ、一人で頑張るのが不安な君は、費用は高くなっても、学校の教室で対面指導を受けられる「通学コース」や、通信制高校の学習を支援してくれるサポート校に通うことを選んだ方が良いかもしれない。サポート校に通う生徒の卒業率は90%を超えるのが普通だという歴史もあるくらいだ。
偏見の霧を晴らし、未来を選ぶ覚悟
通信制高校のデメリットとして、時々「進学に不利なのではないか」とか「人生終わり」といったマイナスな偏見が語られることがある。多くの人が全日制高校に通うのが「普通」だという認識を持っているからこそ、生まれる誤解だろう。
でも、これは事実とは違う。通信制高校を卒業した若者も、大学や専門学校へ着実に進学している。令和元年度のデータでは、大学等進学者は17.6%、専門学校(専門課程)進学者は23.3%にのぼり、進路未決定の割合も下がってきている。特に私立通信制高校の大学進学率は27.7%と高く、専門学校進学率を初めて上回ったというニュースもあるくらいだ。
大切なのは、どの道を選ぶかではなく、その道でどれだけ努力できるかだ。通信制高校を選んだ君には、全日制の生徒と比べて、より強い「計画性」と「自己管理能力」が求められる。自分でスケジュールを立てて、学習時間を確保する必要があるからね。もしこれを怠れば、学習の遅れにつながる可能性がある。また、通信制は通学が少ない分、友人や先生との交流が少なくなる傾向があるというデメリットもある。
君たちが今、立っている秋田という土地は、豊かな自然と歴史に恵まれている。君たちがどんな学校生活を選ぶにしても、それは秋田、そして日本の未来を創る一歩になる。全日制、定時制、通信制。多様な学びの選択肢がある時代だからこそ、他人の意見や古い偏見に惑わされず、君自身の目的に合わせて、肩の力を抜いて、君にとって一番しっくりくる道を選んでほしい。頑張ろう、僕も応援しているよ。

