秋田の未来と、君の人生のハンドル

秋田の若者たちへ、穏やかな海辺の町の片隅で思うこと
秋田という場所は、美しい自然に囲まれ、時に厳しいけれど、基本的に穏やかな時間が流れている。 だけど、そんな穏やかな場所にも、若者たちが抱える「しんどさ」は、見えない形で忍び寄ってくるものだ。最近、東北地方全体を見ても、大麻や覚醒剤といった薬物の問題は、若者の間で広がりつつあると聞く。
もし、君の周りや、君自身が「何かから逃げたい」と感じることがあったら、少し耳を傾けてほしい。これは、説教でも、誰かを責める話でもない。ただ、僕がいくつか調べたことと、僕自身が心の中で思っていることを、少し肩の力が抜けた感じで伝えたいだけなんだ。
薬物がくれる「偽りのメリット」は、砂上の楼閣だ
人間は、つらいときや疲れているときに、一時的にでも楽になれる「魔法」を求めてしまう生き物らしい。
薬物を使ってしまう人たちに対して、それによって何を得ようとしたか、とい尋ねたアンケートがある。 「ゆううつな気分や不安を忘れられる」、「疲れがとれる」、中には、「やせられる」とか、「集中力が増す」なんていう「効能」を挙げる人もいた。女性にとっては「現実逃避ができる」という回答も多かったようだ。
まるで、一瞬だけ疲労回復ドリンクを飲んだり、現実から飛び出す切符を手に入れたような気持ちになるのかもしれない。でも、それは残念ながら、砂の上に建てられたお城のようなもので、すぐに崩れてしまう。薬物を使用することによって、多くの人が経験するデメリットは、あまりに重い。
男女とも9割以上が「逮捕されて刑務所に入ることになった」ことをデメリットに挙げている。そして、「家族との人間関係が悪化した」、「周囲からの信頼を失った」といった、心の繋がりを失ってしまうことが続く。特に女性の場合、「自分が嫌になった」、「精神的に不安定になった」と感じる人が多いそうだ。誰かにとっての「メリット」の裏側には、これだけの大きな「バツ」が待っている。
君の脳と、誰かの悲しみについて
僕が個人的に、この薬物の問題で一番気にしていることがある。それは、君たちの未来そのものに関わることだ。人の脳は、だいたい20歳ごろまで成長し続けると言われているらしい。このすごく大事な時期に、薬物などを乱用してしまうと、心と身体の発達が損なわれる可能性がある。
そして、今の世の中、ネットを開くと「大麻は安全だ」「海外では合法だから害がない」なんて誤った情報が錯綜しているけれど、これは間違いだと専門家は繰り返し言っている。有害性がないなんて、絶対に誤りだ。大麻に関する慣用的な政策が、青少年における薬物意識に与える影響は不明であり、乱用防止のハードルを上げる可能性も考えられている。
とあるアンケート調査によると、大麻などの薬物に手を出した動機の半数以上の理由が、好奇心・興味本位、その場の雰囲気などであるらしい。ここで、興味本位で薬物に手を出しそうな君に、あえて言わせてほしい。薬物を摂取することが、本当にクールなことなのだろうか?
覚醒剤を「一回だけ」使った男性は、家族も仕事も信頼もすべて失い、地元にも帰りづらくなり、自分が望んで入った会社でのキャリアを台無しにしたことを後悔している。大麻で逮捕された息子の母親は、息子を信じたい気持ちと、薬物の依存性を恐れる不安の中で、死ぬまでこの苦悩が消えないだろうと感じている。
君が軽い気持ちで手を出すその「一回だけ」が、君自身を滅ぼすだけでなく、身の回りの大切な人たちに、想像もできないくらいの迷惑、それ以上に深い悲しみを与えることになる。もし、僕の身の回りの大切な人が薬物に手を染めようとするならばそれでも、どんな手段を使ってでも止めなくてはならない。僕は専門家じゃないから救える自信なんてないけれど、少なくとも、そう思っているんだ。
秋田の未来を「力強い人生」で切り拓くために
薬物依存の回復を助ける専門家たちは、「脅し教育」ではなく、君たちの「生きる力」を育むことが大切だと言っている。つまり、問題解決力や、周りの人と上手にやっていく力(コミュニケーション能力)といった、日々の生活の中で役に立つスキルを身につけることだ。
「現実逃避」や「不安の解消」を薬物に求める代わりに、僕たちは正当な方法で、その気持ちを紛らわす方法を必死になって探す必要がある。たとえば、秋田県警では、少年保護育成委員や大学生サポーターと連携して、学習やスポーツ活動を通じた少年の立ち直り支援を行っている。スポーツや活動は、社会との接点を持つための素晴らしい方法だ。
秋田には、君たちが安心して暮らせるよう、様々な形で支援する機関がある。警察や行政、医療機関、民間支援団体が連携を取り合って、君たちをサポートしようと動いている。困ったことがあれば、まずは相談してみること。相談窓口(精神保健福祉センターや警察など)は必ずある。
君の人生のハンドルは、誰にも渡してはいけない。特に、自分自身を壊してしまうような危険な物質に、渡す必要なんてまったくない。 秋田の未来は、君たちの力強い人生にかかっている。不安や憂鬱を、一瞬で消してくれる「魔法」なんて、この世には存在しない。
でも、不安や憂鬱を乗り越えて前に進む「君の力」は、必ず存在する。太陽が日本海に沈むとき、その光景は実にドラマチックだ。あんな風に、君の人生もまた、静かな力強さを持って輝いてほしい。それこそが、秋田で生きる君が選べる、最もクールな選択肢だと僕は思うよ。

