眠りは未来の羅針盤:君が秋田で元気になるための休息の話

 

 最近の僕は、だいたい夜11時くらいに布団に入り、朝5時くらいに目を覚ます、という生活リズムを続けている 。つまり睡眠時間は6時間くらいだ 。これは世界の平均と比べると、どうやら少し短めのようだ 。
 考えてみれば、20代の、仕事に夢中だった頃はひどかった。平均睡眠時間は4、5時間くらいだったと思う。常に頭が痛くてムカムカして、目の下にはいつもクマが住んでいた。睡眠不足のせいで、仕事の効率がだいぶ落ちていたのは間違いない。

 今は当時よりずっとコンディションがいい。睡眠の大切さをひしひしと感じている。でも、情けないことに、僕も君たちと同じで、ベッドにスマホを持ち込んでしまうんだ 。目覚まし時計代わりにしていると言い訳をしつつ、ついついYouTubeを眺めてしまい、気がつくと夜更かし、なんてこともよくある。本当に良くない習慣だと反省しているよ。
 この「つい夜ふかししてしまう」問題は、君たち秋田の若者にとって他人事じゃない。僕たちの未来を左右する、結構真面目な話だと思うんだ。

青春の特権?それとも未来への「眠りの借金」?

 君たち高校生くらいの世代は、今、日本の全国平均を見ても、深刻な睡眠不足に陥っているみたいなんだ。厚生労働省が出した新しい睡眠指針案では、中学・高校生には8~10時間の適切な睡眠時間が推奨されている。
 でも、実際の調査を見ると、平日の高校生の約8割が、この適切な睡眠時間を確保できていない中学生でも約50%が足りていないというデータがある。

 夜遅くまで起きていると、翌朝、学校があるにもかかわらず午前中の授業中に眠くて仕方がない、と感じる割合が高いことがわかっているよ。また、睡眠不足だと、なんでもないのにイライラすることが増える傾向もあるそうだ。

 ちなみに、僕たちの秋田県について、全国の疲労状況を比べた調査(20~79歳対象)では、「疲れている人(高頻度)」の割合が38.4%だった。これは全国的に見て、特に元気な方だとは言えない数字だ。特に若い世代が疲労を抱えていると、地域全体のポテンシャルが発揮できないんじゃないかと、僕は少し心配になる。

 睡眠は、いわば「明日の君」への投資だ。睡眠時間が少ない人ほど、日々の活動で使う以外の「休養時間」も短い傾向にあるらしい。質の良い睡眠をしっかりとって、心と体の活力を蓄える。これこそ、秋田の活力を高めるための「隠れた資源」なんじゃないか、と僕は思う。

夜型人間はだらしない?体内時計のちょっと厄介な反抗期

 「朝起きられないのは、君の努力が足りないからだ!」なんて、乱暴なことは言わないでおこう。実は、君たち思春期世代が夜ふかしになりがちなのには、体の自然な仕組みが関係しているんだ

 思春期に入ると、眠気を誘うホルモンである「メラトニン」が分泌されるタイミングが遅くなる。つまり、体内時計が自然と夜型にシフトすることが多くの研究で指摘されている。第二次性徴期が始まってから20歳くらいまでは、睡眠と覚醒のリズムが数時間ほど後ろにズレるんだって。
 だから、朝、アラームを何度も鳴らされても布団から出られないのは、君が悪いんじゃなくて、君の体内時計が「まだ夜だよ!」と主張しているせいかもしれない。君たちの体内時計は、社会が求める「朝型」のリズムと戦っている状態なんだ。

 平日の朝早い生活の疲れを、週末に寝坊することで解消している「社会的時差ボケ」の状態になっている高校生も珍しくない。学校がある日とない日で起床時刻が2時間以上ずれることが「よくある」「ときどきある」と回答した高校生は、全体の6割以上もいるんだ。これは、平日の睡眠不足を解消しようとする自然な行動ではあるけれども、そのせいで体内時計がさらに遅れてしまい、月曜日の朝がもっと辛くなる、という悪循環を生んでしまう。

 でも、知っておいてほしいのは、体内時計のリズムは「光」で調整できる、ということ。朝目が覚めたら、太陽の光を浴びるんだ。光情報を取り入れることで、体内時計をリセットし、夜の入眠時刻が遅れるのを防ぐことができる。朝食をしっかり食べることも、体内時計を整えるのに役立つと言われているよ。

枕元のスマホ:未来を盗む「小さな泥棒」

 僕が自分の経験談でちょっと恥ずかしい話をしたけれど、スマホは本当に油断ならない。中学生を対象にした調査では、睡眠に問題がある人のうち、平日に4時間以上スマホを使っている人が半数以上だった。休日に至っては、睡眠問題がある人の8割が4時間以上スマホを使っていたという結果もある。
 君たちがスマホで何をしているかというと、動画鑑賞やソーシャルネットワークゲーム、チャットが多いだろう。でも、寝る直前までこうした情報機器に触れていると、朝、布団から出るのがつらくなる割合が高くなることが、全国的な調査で明らかになっている。

 その理由は、スマートフォンなどの電子機器の画面から出る「強い光」(特に青色の光)にある。この強い光を寝る前2時間以内に浴びると、眠気を促すメラトニンの分泌量が抑えられてしまうんだ。光には覚醒効果があるとも指摘されている。つまり、寝る前にスマホを見ることは、脳に「寝るな!」という信号を意図せず送っているようなものなんだね。

 中学生の親の5割以上が、子どもの睡眠で何らかの悩みを抱えており、その困りごとで最も多かったのが「夜更かし」(17.5%)、次いで「寝る前まで電子機器をいじっている」(15.8%)だった。高校生では「夜更かし」の割合が31.7%に達している。夜ふかしには、スマホが大きく関わっているのは間違いないだろう。

 でも、スマホを完全にやめるなんて無理な話だ。だから、「寝る2時間前には、寝室に強い光を持ち込まない」という工夫が大事になる。せめて、寝床に入ったら「YouTubeの続きは明日」と開き直れる心のゆとりを持とう。

眠りをデザインする:秋田の未来への戦略

 僕が20代で睡眠を削って効率を落としていたように、君たちも今、貴重なエネルギーを削って生活していないか、立ち止まって考えてみてほしい。
 十分な睡眠が取れないと、心身の健康に悪い影響が出る。イライラしたり、気分が落ち込んだり、疲れやすくなる。将来、君たちが秋田で活躍し、地域を引っ張っていくためには、まずは君自身が健康で、最高のパフォーマンスを発揮できる状態であることが前提だ。

 「良い睡眠」を確保するためのコツはいくつかある。一つは「規則正しい生活」。そして、日中に太陽の光を十分浴びること。さらに、朝食をしっかりとること。朝食を毎日食べる中高生は、ルールを守って行動する割合が高いことがわかっているよ。

 そして何より、自分の心身が休息している状態、つまり「リカバリー」を大事にすることだ。リカバリーとは、活動能力の減退した機能を回復し、活力を蓄えて次に備えることなんだ。元気な人ほど、睡眠時間以外にも2時間以上の休養時間を確保しているというデータもある。

 君の未来は、君がデザインする睡眠の質にかかっているかもしれない。夜型遺伝子のせいで朝が辛いなら、朝が苦手な自分を無理に責めなくていい。その代わり、夜の光の誘惑には負けずに、自分の体内時計に優しい生活を心がけることが大切だ。
 体内時計の仕組みを理解し、生活リズムを整えることは、君が主体的に人生をコントロールする力を身につけることにつながる。秋田の未来は、君たちの健康と活力にかかっている。だから、どうか自分の心と体を第一に考えて、たっぷりと良い眠りを確保してほしい。それが、君自身にとっても、この美しい秋田という場所にとっても、一番の「将来への戦略」だと僕は信じているよ。

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