冬の朝、除雪車の音と、僕たちの未来について

 冬の朝、まだ世界が寝静まっているような時間に、ゴゴゴゴという低い唸り声で目を覚ますことがある。それは怪獣のいびきではなく、黄色い回転灯を回しながら走る除雪車の音だ。

 布団の中でその音を聞きながら、僕は「やれやれ、また眠りを妨げられたな」と思うのと同時に、どこかでほっとしている自分に気づく。なぜなら、その音が通り過ぎたあとには、僕たちが安全に歩くための「道」ができているからだ。

 今日は、そんな冬の風物詩である除雪と、そこから見えてくる君たちの未来について、少しばかり話をしようと思う。コーヒーでも飲みながら、リラックスして読んでみてほしい。

巨額のマネーと、消えていく雪

 君は、街の雪を片付けるのにどれくらいのお金がかかっているか想像したことがあるだろうか。 たとえば、雪国である秋田市では、雪がたくさん降った年に、当初の予定だけでは足りず、追加で6億円もの予算を組んだことがあるそうだ。6億円だなんて、想像もつかない金額だよね。一生かかっても使いきれないかもしれない。

 それだけの巨額の費用が、春になれば溶けて消えてしまう雪のために使われている。でも、それは決して無駄遣いじゃない。バスが走り、君が学校へ行き、救急車が病院へ向かうための「当たり前の日常」を買っているようなものなんだ。

 ただ、このお財布事情はなかなかシビアだ。最近は燃料代も上がっているし、人件費もかかる。自治体のお金、つまり僕たちが払っている税金には限りがある。無限に雪を消せる魔法の杖は、残念ながら行政も持っていないということだね。

完璧じゃないダンスと、置き去りにされた雪

 除雪車が通ったあと、君の家の前に雪の塊が残されているのを見たことはないかな? これを「間口の雪」と呼ぶらしいけれど、こいつがなかなかの厄介者だ。

 「せっかく除雪車が来たのに、なんで家の前に雪を置いていくんだ」と、怒りたくなる気持ちもわかる。実際、そういったクレームも少なくないようだ。 でも、除雪車のオペレーターも意地悪でやっているわけじゃない。彼らは限られた時間の中で、何キロメートルもの道路の雪をかき分けなきゃいけない。一軒一軒の玄関先を丁寧に掃除していたら、朝までに作業が終わらないんだ。

 それに、彼らにはルールがある。たとえば、雪が10センチ以上積もったときに出動するとか、まずは主要な道路を優先するとか、決められた基準の中で必死にハンドルを握っている。 機械と人間がやる以上、そこにはどうしても「完璧ではない部分」が生まれる。それはまるで、少しステップが合わないダンスのようだ。でも、その不完全さを責めるよりも、深夜から働いてくれた彼らの背中に、僕は感謝の拍手を送りたいと思う。

老いていく街と、温かい地面の秘密

 少し視点を変えて、地面の下の話をしよう。 坂道なんかで、雪が積もらないように道路が温かくなっている場所を見たことがあるだろう? あれはロードヒーティングといって、電気やガス、地下水なんかを使って雪を溶かしているんだ。

 とても便利な仕組みだけれど、これにも問題がある。人間と同じで、機械も歳をとるんだ。 秋田市にある融雪施設の多くは、設置から長い年月が経っていて、あちこちガタがきているらしい。これを全部直したり新しくしたりするには、今後30年間でなんと110億円から220億円くらいかかると試算されている。気が遠くなるような数字だね。

 さらに、この街では高齢化が進んでいる。3人に1人が65歳以上という状況だ。おじいちゃんやおばあちゃんだけで住んでいる家では、玄関前の雪かきどころか、屋根の雪下ろしなんて命がけの作業になってしまう。 街の設備は古くなり、それを支える人たちは歳をとっていく。これが、僕たちが直面している現実なんだ。

僕たちにできる、ささやかで確かなこと

 ちょっと暗い話になったかもしれない。 でも、悲観することはないよ。 行政も手をこまねいているわけじゃない。お年寄りの家の雪かきを手伝う制度を作ったり、GPSを使って除雪車がいまどこにいるかスマホで見られるようにしたりして、効率よく雪と戦おうとしている。

 じゃあ、君には何ができるだろう。 いきなり除雪車を運転しろとは言わないし、何億円も寄付しろなんて無理な話だ。たとえば、近所のお年寄りが雪かきで困っていたら「手伝いましょうか」と声をかけてみる。あるいは、家の前の雪を道路に投げ捨てないというマナーを守る。そんな些細なことでいい。 秋田市では、ボランティアで除雪を手伝う活動も行われているようだ。もし君に体力と時間があるなら、そういう活動に参加してみるのも、ひとつの冒険かもしれない。

 行政による公助には限界がある。だからこそ、自分のことは自分でする自助と、地域で助け合う共助が大切になってくるんだ。 難しい言葉を使っちゃったけど、要は「お互い様」の精神で冬を乗り切ろうってことさ。

雪解けの向こう側へ

 毎朝、除雪車が道を開けてくれるように、誰かが君のために道を作ってくれている。 でも、その道は完璧じゃないかもしれない。時にはデコボコしているし、脇には雪の塊が残っているかもしれない。

 それでも、道はある。 その上をどう歩くか、あるいは、その道をどうやって自分たちで直していくか。それを考えるのが、これからの未来を生きる君たちの役割なんじゃないかな。

 文句を言うのは簡単だ。でも、想像力を働かせて「なぜこうなっているんだろう」「自分ならどうするだろう」と考えてみるほうが、人生はずっと面白くなる。冬の寒さは厳しいけれど、雪かきをしたあとのコーヒーが美味しいように、苦労のあとには温かい何かが待っているはずだ。 さあ、今日も雪道を気をつけて歩いていこう。転ばないようにね。

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