白い季節の通学路、あるいは僕らが直面する「不便」という名の冒険

最近、ニュースで北海道の札幌が大変なことになっているのを見ただうか。一晩でとんでもない量の雪が降って、電車も車も動けなくなってしまったそうだね。新千歳空港で一夜を明かした人たちの映像を見て、僕はなんだか映画のワンシーンみたいだと思ってしまったけれど、当事者にとってはたまったもんじゃないだろう。
さて、僕らの住む秋田も、他人事じゃないよね。窓の外を見れば、そこはもう白い迷宮だ。君は毎日、どうやって学校に通っているんだろう。 雪国に住む学生にとって、冬の通学はただの移動じゃない。それは毎朝繰り返される、ちょっとしたサバイバルだ。今日は、そんな雪の日の通学事情について、少し肩の力を抜いて話をしようか。
クマの次は、白い悪魔
ついこの間まで、僕らの話題の中心は「クマ」だったよね。秋田県内ではクマの出没が増えていて、登下校中に怖い思いをしたという話も聞いたし、実際に被害に遭ったニュースもあった。あの頃は、鈴を鳴らしたり、ラジオをかけたりして、とにかく「ここに人間がいるぞ」とアピールしながら歩いたものだ。
それが今、敵は「雪」に変わった。 秋田の冬は、自転車という最強の相棒を僕らから奪い去る。多くの学校では、12月に入ると自転車通学が禁止になるからね。夏の間、風を切って走っていたあの爽快感は、春までお預けだ。
自転車が使えないとなると、選択肢は限られてくる。自分の足で歩くか、親御さんに車で送ってもらうか、それとも電車やバスといった公共交通機関に頼るか。でも、頼みの綱であるそれらが、冬になるとご機嫌斜めになることが多いんだ。
時刻表という名のミステリー
雪国に住んでいると、時刻表通りに乗り物が来るなんて奇跡に近いと思えてくる。 最近の秋田県内の状況を見ても、奥羽本線や男鹿線、五能線なんかで、大雪の影響による運休や遅れが相次いでいるね。あの屈強だと思われていた秋田新幹線でさえ、雪の壁には勝てずに止まってしまうことがある。
駅のホームで、いつ来るかわからない電車を待つ時間。あれはなかなかに堪えるよね。手袋をしていても指先は冷たいし、スマホをいじるのも億劫になる。 バスだってそうだ。秋田市内では、雪で道が狭くなったり渋滞したりして、バスが大幅に遅れることがある。アプリでバスの位置を確認しても、なかなかアイコンが進まないあのもどかしさ。
で もね、そこでイライラしても雪は溶けない。 「今日は遅れるかもしれないな」と腹をくくって、少し早めに家を出る。文庫本を一冊ポケットに入れておく。そんな小さな工夫が、この長い冬を乗り切るコツかもしれない。
ペンギンになる覚悟
歩いて通う君には、別の試練がある。 雪道というのは、ただ歩くだけで体力を奪うものだ。圧雪された道、凍ってツルツルになったアイスバーン、溶けかけのシャーベット状の道。まるで障害物競走だよね。
ここで大切なのは、格好つけないことだ。 大股で颯爽と歩こうなんて思っちゃいけない。歩幅を小さくして、足の裏全体で地面を踏みしめるように歩く。そう、ペンギンのようにね。 重心を低くして、少し前かがみになる。ポケットに手を入れて歩くのは、転んだ時に受け身が取れないから絶対にナシだ。
服装だって大事だ。制服の上にスキーウェアを着る小学生を見かけるけれど、あれは理にかなっている。中高生になると少し恥ずかしいかもしれないけれど、防滑ソールのついたスノーブーツは必須アイテムだね。 雪国のおしゃれは、寒さと転倒への対策から始まるんだ。
不便が生み出す、新しいアイデア
こうして見ると、雪国の通学は「不便」のオンパレードだ。 でも、この不便さが、誰かの心を動かすこともある。
秋田にある国際教養大学の学生たちが、「Rideon(ライドオン)」というアプリを開発したという話を知っているかい。 大学が街の中心から離れていて、バスも少ない。車を持っていない学生は買い物に行くのも一苦労だ。そこで彼らは、「車を出して買い物に行く学生」と「乗せてほしい学生」をマッチングさせる仕組みを作ったんだ。
これは単なる相乗りアプリじゃない。雪国特有の「移動の困難さ」という課題に対して、学生自身が「どうにかしよう」と知恵を絞った結果だ。 不便だから仕方ないと諦めるんじゃなくて、不便だからこそ新しい仕組みを作ってしまおうという発想。これには僕も驚かされたし、希望を感じたよ。
雪解けを待ちながら
君が今、毎朝感じている「寒くて辛いな」「バスが来なくて困ったな」という気持ち。それは、決して無駄なものじゃない。 不便さを肌で感じている君だからこそ、将来、「こんなものがあったらいいのに」というアイデアを生み出せるかもしれないからね。
もちろん、無理をして学校に行く必要はない時もある。 警報が出るような大雪の時は、学校が休みになることもあるし、身の安全が第一だ。無理せず休む勇気も、雪国で生きるための知恵の一つだ。
春になれば、また自転車に乗れる日が来る。 それまでは、この白い迷宮の中で、自分なりの「歩き方」を見つけてみてほしい。ペンギン歩きも、意外と悪くないものだよ。

